タイプN-3は1948年頃から採用された米空軍の搭乗員が着用する寒冷地用のジャケットである。使用温度域はヘビーゾーンと分類した-10℃から-30℃を想定している。第二次世界大戦中に採用されていたコットン製のB-9とB-11から継承されたモデルで、このN-3からナイロン製となった。表地のナイロンと裏地のナイロンとでウールパイルをサンドした中綿入りの仕様となり、滑りの良い着心地が運動性を格段に向上させた。同時期に開発されたN-2よりも着丈は長く、ウエスト部分には風の侵入を防ぐアジャスターコードが設けられている。タイプN-3とタイプN-2は、それまでどのジャケットにも無かったラグランスリーブを採用し、運動性と機能性を重視している。ヘルメットを着用した上からでも使用できる大型のフードが付いているのが特徴で、内張には贅沢にシープムートンがあしらわれており、フロントジッパーをフードの先端まで閉じると顔をすっぽり覆い、外気に触れるのを回避する仕様。またフードトリムのコヨーテファーはフードを被って閉じた時に雪の侵入を防ぎつつ視界を良好に確保してくれる。N-3の基本的なデザインは民間の防寒衣料品にも多く使用され、如何に完成度が高く、影響力があるジャケットであるかを物語っている。